「上質生活」より
良質なものは、上質生活をつくります。
けれども、自分の生活行為とは無関係に、
ただただ所有する満足のためだけに良質なものを
そろえたところで、上質生活にはなりません。
「もの」は生活行為と一体化していなければ
ならないのです。
それが、良質なもので生活するということです。
良質なものは、感性によい影響を与えて、それに触れる生活行為を
上質なものにしてくれます。良質な素材は、触れたり囲まれたりしたときに、
安らぎとぬくもりを感じさせ、疲れを与えません。
もし、感性のよい人が、良質でないものに触れ、馴れようとすると、
常に違和感を感じることとなり、それによって心身ともにストレスを
蒙ることになります。
でも、もっと怖いのは、それに馴れてしまうことです。
生活行為は習慣性をもつものですから、良質でないもの、不都合なものでも
馴れてしまえば不具合感は薄れていきます。
感性は、こうして鈍っていくのです。
良質なものは、よく関わることによって、使う人の感性を育て、
生活行為を上質なものに変えていくのです。
上質な生活とは 上質な空間とは 上質な時間とは
何かを考えさせられる本でした。